「不動産競売」は一般的に、地方裁判所が行う競売を指します。
土地や建物の購入時に借りた住宅ローン返済ができなくなるなど、不動産を担保にした借入金等の債務履行ができなくなった場合に、債権者の申し立てによって、地方裁判所が競売を行う制度です。
前述のケースが広く「競売」として認識されていると思いますが、遺産分割協議が難航し、不調に終わった場合にも、裁判所の判断により、「競売」を用いた換価が選択されるケースもあります。
“家庭裁判所は、遺産の分割の審判をするため必要があり、かつ相当と認めるときは、相続人の意見を聴き、相続人に対し、遺産の全部又は一部について任意に売却して換価することを命ずることができる。ただし共同相続人中に競売によるべき旨の意志を表示した者があるときは、この限りではない。
(家事事件手続き法第194条第2項)”
換価分割をする必要性がある場合には、まずは「任意売却」を試みて、困難であれば、「競売」により換価する流れになります。
任意売却と競売であれば、競売は、販売価格を確定せずに不動産などを売りに出し、購入したい人がそれぞれに希望価格を申し出るオークション形式の販売である為、一般的な不動産売却の5~7割程度とされます。
任意売却の方が相続人に有利であることは、間違いありませんが、任意売却には相続人全員の同意が必要になる為、遺産分割協議が審判まで縺れ込んだ場合、相続人全員の同意に基づく任意売却は極めて困難と言えます。
競売にはデメリットも多く、次のような事が挙げられます。
「売却価格の希望が反映されない為、相場の5~7割程度の売却価格となる」
「全ての手続きは裁判所が決定するため、退去時期などの調整ができない」
「物件情報が広く公開されるため、プライバシーが保たれない」
競売を避けるには、遺産分割協議が調停、審判に進む前の初期段階で相続人全員が納得できる形を模索することが重要になります。
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