~遺産分割(調停)~

通常、遺言書がない場合は、相続人全員で遺産分割協議を行うことになります。

協議は相続人全員の合意がなければ成立しない為、遺産分割協議に非協力的な相続人がいたり、自己主張が強く、他の相続人の意見を聞き入れない相続人がいるなど、遺産分割協議が成立する見込みがない場合、家庭裁判所の遺産分割調停を利用して解決を図ることになります。

調停手続を利用する場合は,相続人のうちの1人もしくは何人かが、その他の相続人員を相手方とし、遺産分割調停事件として申し立てます。

遺産分割調停の調停委員会は、家事審判官(裁判官)と民間から選出された非常勤の裁判所職員を調停委員とした2人以上で組織されます。

調停委員には40歳以上70歳未満で「弁護士となる資格を有する者」「民事もしくは家事の紛争に有効な専門知識経験を有する者」「社会生活の上で豊富な知識経験を有する者」など解決の手助けになる有識者が選任されます。

調停手続では,相続人全員から事情を聴いたり,必要に応じて資料等を提出してもらったり,遺産について鑑定を行うなどして事情をよく把握したうえで,各当事者がそれぞれどのような分割方法を希望しているか意向を聴取し,解決案を提示したり,解決のために必要な助言をし,合意を目指し話合いが進められます。

なお,話合いがまとまらず調停が不成立になった場合には自動的に審判手続が開始され,裁判官が,遺産に属する物又は権利の種類及び性質その他一切の事情を考慮して,審判をすることになります。

遺産分割調停にはメリット・デメリットがあり、メリットの一つとして、調停委員を介して話し合いを進めるので、当事者同士が直接顔を合わせることなく、互いに相手の立場を理解しながら、冷静に話し合うことができ、

調停委員が公正・中立的な立場でお互いが納得する解決策の提案をしてくれますので、法律的にも公平で円満な解決を目指すことができます。

相続人同士、直接の話し合いでは、お互いの認識の違いや感情の行き違いでトラブルになることが多くありますので、大きなメリットと言えるでしょう。

デメリットとしては、1か月に1回程度のペースで最低でも4~5回程度行われるため、結果がまとまるまで一般的に1年程度かかるとされ、複雑な案件では2年以上かかることもあります。

当事務所では、家庭裁判所に提出する申立書類の作成などのサポートも行っています。